財務報告
売上高および売上原価率 経営環境と財務戦略
2017年3月期は、海外景気の下振れ懸念があったものの、 政府による経済政策の効果、雇用・所得環境の改善などにより、 緩やかな回復基調で推移しました。このような環境のもと、当 社グループでは「医療と健康、美」の流通で社会に貢献する新 しい卸の形をめざし、3か年にわたる「2019メディパル中期ビ ジョン Change the 卸 next – 革新と創造」を策定しています。 既存事業のさらなる効率化と機能の拡充、全国のインフラと人 材を活用した新規事業の拡大を一層進めるとともに、グループ 各社の機能・資源をいかした成長分野の事業展開を行うこと により収益基盤を拡大し、当社グループの持続的な成長を実 現していきます。
損益
売上高
医療用医薬品等卸売事業において、市場がマイナス成長し た影響があったものの、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事 業および動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業において は、良好な市場環境の中で販売が順調に推移したことにより、 売上高は3兆639億円(前期比1.2%増)となりました。
営業利益
医療用医薬品等卸売事業において、売上高の減少や積極 投資に伴う販管費の増加があったことなどにより、営業利益は 396億50百万円(前期比6.2%減)となりました。
経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益 営業利益が減少したことにより、経常利益は533億60百万円
(前期比3.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は290 億11百万円(前期比5.7%減)となりました。
セグメント情報
医療用医薬品等卸売事業
(百万円)
(3月期) 2016 2017
売上高 ¥2,123,439 ¥2,085,175
営業利益 24,533 18,670
資産 986,555 992,647
減価償却費 7,031 8,222
有形固定資産および
無形固定資産の増加額 24,016 34,966
医療用医薬品等の販売は、需要が拡大する後発医薬品
(ジェネリック医薬品)や新薬に積極的な取組みを行ったもの の、2016年4月に実施された薬価引下げやC型肝炎治療薬の 需要がピークアウトしたことなどにより市場がマイナス成長と なり、厳しい状況で推移しました。本事業では、国民にとって安 全・安心な医療を支える社会インフラとして、製薬企業から患 者さんに至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化を 図るべく、卸機能を最大限に発揮するためのさまざまな取組み と投資を積極的に行っています。物流基盤の強化については、 ALCの全国拡大を当社の完全子会社である各事業会社が進 めており、2016年7月に株式会社アトルの「福岡ALC」(福岡 市東区)、2017年3月には株式会社メディセオの「埼玉ALC」
(埼玉県三郷市)、株式会社エバルスの「岡山ALC」(岡山県都 窪郡)が新たに稼働しました。また、ALCが稼働するエリアに おいてFLCの設置を進めるとともに、ALCと連動して調剤薬局 における医薬品の品切れ防止や業務効率の改善などを実現す る調剤薬局業務サポートシステム「PRESUS®(プレサス)」の 普及に取り組んでいます。営業面の強化については、2,000人 規模に拡大したMR認定試験合格者を、高い専門知識とスキ ルをもつARとして任命し、新たなプロモーション活動に取り 組んでいます。また、全国の事業拠点やARなどの人材を活用 し、医薬品の製造販売後調査(PMS)の一部を製薬企業から 受託する事業を展開しています。これらの結果、医療用医薬品 等卸売事業における売上高は2兆851億75百万円(前期比 1.8%減)、営業利益は186億70百万円(前期比23.9%減)と なりました。
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業
(百万円)
(3月期) 2016 2017
売上高 ¥860,350 ¥922,095
営業利益 16,282 19,114
資産 344,252 354,129
減価償却費 4,980 4,928
のれん償却額 68 137
有形固定資産および
無形固定資産の増加額 15,755 9,791
化粧品・日用品、一般用医薬品の販売は、雇用環境の改善 などを背景に、消費マインドの改善に伴う個人消費の持ち直し などにより、市場環境は堅調に推移しました。このような環境 の中、当社の連結子会社である株式会社PALTACでは、「顧客 満足の最大化と流通コストの最小化」をコーポレートスロー ガンに、人々の生活に密着した「美と健康」に関する商品をフル ラインで提供する中間流通業として、サプライチェーン全体の 最適化・効率化をめざした取組みを行っています。また、小売 業の効果的な品 えや販売活動を支援する営業体制の強化、 および安心・安全で高品質・ローコスト物流機能の強化を図り、 平時の安定供給はもとより有事の際にも「止めない物流」体制 により、小売業ひいては消費者の皆さまへローコストかつ安定 的に商品をお届けする取組みを行っています。2017年3月期 は、全国市場の3分の1を占める最大市場の関東エリアにおい て「物流・営業・管理」のそれぞれの視点から強化、改善に取 り組んできました。物流面については、交通の要衝である埼玉 県白岡市において、「RDC関東」の隣接地に「FDC白岡」を 2017年3月から稼働させ、生産性向上・出荷能力の拡大を図 りました。また、営業・管理面については、関東エリアのコント ロールセンターの役割を担う事務所ビルを東京都北区に開設 し、拠点の統合や仕入部門の強化などを図りました。さらに、
「FDC広島」(広島市佐伯区)の建設および「RDC沖縄」(沖縄 県うるま市)の増設など、基盤強化に向けた設備投資を計画ど おりに進めています。これらの結果、化粧品・日用品、一般用 医薬品卸売事業における売上高は9,220億95百万円(前期比 7.2%増)、営業利益は191億14百万円(前期比17.4%増)と なりました。
親会社株主に帰属する当期純利益およびROE
株主資本および株主資本比率
売上高(左軸) 売上原価率(右軸)
親会社株主に帰属する当期純利益(左軸) ROE(右軸)
株主資本(左軸) 株主資本比率(右軸)
(億円) (%)
(億円) (%)
(億円) (%)
2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 30,639 92.8 92.9
30,281 93.0
28,729 92.9
29,477 92.8
28,109
100
75
50
25
0 40,000
30,000
20,000
10,000
0
2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 10
8
6
4
2
0 6.8 290 307 7.6
236 6.4 7.6
5.9 254
186
0 100 200 300 400
2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 4,018
26.3 3,783
25.3 3,535
24.3 3,366
24.0 3,148
23.7
40
30
20
10
0 4,000
3,000
2,000
1,000
0
38 MEDIPAL HOLDINGS CORPORATION Annual Report 2017 MEDIPAL HOLDINGS CORPORATION Annual Report 2017 39
財務報告
流動比率
売上債権回転月数
売上債権回転月数=受取手形及び売掛金[期末]÷税込売上高[月平均]
仕入債務回転月数=
(支払手形及び買掛金[期末]–仕入割戻未収入金[期末])÷税込仕入高[月平均]
仕入債務回転月数
(%)
(月)
(月)
2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 118.0 116.8 116.0 114.2 114.7 120
115
110
105
100
2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 2.57 2.50
2.69 2.63 2.54 4.0
3.0
2.0
1.0
0
2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 3.34 3.28
3.54 3.52 3.48 4.0
3.0
2.0
1.0
0
動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業
(百万円)
(3月期) 2016 2017
売上高 ¥47,182 ¥59,762
営業利益 928 1,150
資産 18,061 21,791
減価償却費 123 155
のれん償却額 ̶ 83
有形固定資産および
無形固定資産の増加額 160 91
動物用医薬品の販売は、畜産向け市場において家畜の疾病 予防や食肉の品質向上につながる飼料添加物に積極的な取 組みを行ったこと、また、コンパニオンアニマル向け市場にお いて新商品の皮膚疾患治療薬や高齢化に関わる商品等を中 心に取り組んだことなどにより、順調に推移しました。食品加 工原材料等の販売は、グループ内の事業統合で仕入・販売 ルートが全国に拡大したことにより、順調に推移しました。これ らの結果、動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業におけ る売上高は597億62百万円(前期比26.7%増)、営業利益は 11億50百万円(前期比23.9%増)となりました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでいます。
流動性と資金の源泉
資産、負債および純資産の状況
・資産
2017年3月期末における総資産は1兆5,259億12百万円と なり、前期末より286億1百万円増加しました。流動資産は1兆 951億53百万円となり、前期末より110億77百万円減少しま した。これは主に受取手形及び売掛金の減少109億99百万円 によるものです。固定資産は4,307億58百万円となり、前期末 より396億79百万円増加しました。これは主に有形固定資産 の増加251億3百万円によるものです。
・負債
2017年3月期末における負債は1兆47億46百万円となり、 前期末より42億34百万円減少しました。流動負債は9,282億 52百万円となり、前期末より188億21百万円減少しました。こ れは主に短期借入金の減少204億円によるものです。固定負 債は764億94百万円となり、前期末より145億86百万円増加 しました。これは主にリース債務の増加106億75百万円、長期 借入金の増加33億14百万円によるものです。
・純資産
2017年3月期末における純資産は5,211億65百万円となり、 前期末より328億36百万円増加しました。これは主に利益剰 余金の増加235億58百万円によるものです。
キャッシュ・フローの状況
2017年3月期における現金及び現金同等物(以下「資金」と いう。)は、前期末より192億44百万円増加し、2017年3月期 末には1,825億61百万円となりました。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金の増加は、479億54百万円(前期比 259億68百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調 整前当期純利益が524億53百万円、減価償却費135億73 百万円、売上債権の減少129億24百万円、たな卸資産の増加 43億86百万円、仕入債務の減少48億14百万円、法人税等の 支払224億42百万円によるものです。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金の減少は、113億54百万円(前期比 299億12百万円の減少)となりました。これは主に、有価証券 の売却による収入187億71百万円、埼玉ALC等の有形固定 資産の取得による支出323億31百万円によるものです。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金の減少は、176億63百万円(前期は60 億93百万円の増加)となりました。これは主に、借入金の減少 151億76百万円、配当金の支払85億4百万円によるものです。
設備投資
当社グループは、2017年3月期において、物流機能の一層 の強化と効率化をめざして、医療用医薬品等卸売事業、化粧 品・日用品、一般用医薬品卸売事業を中心に設備投資408億 92百万円、ソフトウエア等投資39億91百万円、総額448億 83百万円の投資を行いました。所要資金については、自己資 金および借入金によっています。
2018年3月期連結業績の見通し
各事業において「2019メディパル中期ビジョン Change the 卸 next – 革新と創造」を策定し、同ビジョンに沿った取組 みを進めていきます。
医療用医薬品等卸売事業については、ALCを核とする安 全・安心・便利な流通を全国へ拡大することで、強固な社会イン フラを構築していきます。併せて、ARなどの人材を活用するこ とで新規事業を展開し、収益の多角化に努めていきます。 化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業については、持続 的な成長に向け、情報システムの強化と人材の育成に取り組 み、メーカー・小売業とのさらなる連携強化により、流通全体を 視野に機能強化と生産性向上に努めていきます。
動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業については、今 後の市場環境の変化を見据え、経営基盤のさらなる強化と顧 客サービスの充実に努めていきます。
また、2017年4月、当社の完全子会社である株式会社 メディセオのシステム本部に係る事業を、簡易吸収分割により 当社が承継し、グループのシステムにおけるガバナンスの強化 を図るとともに、今後のシステム企画開発を円滑かつ迅速に進 めていきます。
40 MEDIPAL HOLDINGS CORPORATION Annual Report 2017 MEDIPAL HOLDINGS CORPORATION Annual Report 2017 41
財務報告
これらにより、通期における連結売上高は3兆1,160億円(前 期比1.7%増)、連結営業利益は425億円(前期比 7.2%増)、 連結経常利益は560億円(前期比4.9%増)、親会社株主に帰 属する当期純利益は300億円(前期比3.4%増)を見込んでい ます。
配当政策
当社は、株主の皆さまに対する利益配分を経営の最重要課 題のひとつと位置づけています。財務体質の強化と積極的な 事業展開に必要な内部留保を確保しつつ、利益配分について は、事業活動によって得られた利益に連動した株主の皆さまへ の配分を基本方針とし、連結配当性向25%を目安として安定 配当を継続します。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行 うことを基本方針としています。
これらの剰余金の配当の決定機関は、取締役会です。 2017年3月期の配当については、2017年3月期の財務状況 等を勘案の上、1株につき31円の配当(中間配当として1株に つき15円、期末配当として1株につき16円)を実施しました。こ の結果、2017年3月期の連結配当性向は24.2%となりました。 内部留保資金については、変化に適応する事業の深化と拡 大を図るための改革を推進するなどの目的で有効に活用して いきます。また、自己株式の取得等については、経営環境の変 化に対応した機動的な資本政策を遂行するために、財務状況、 株価の動向等を勘案しながら適切に実施していきます。
次期の1株当たり配当金については、中間配当金16円、期 末配当金16円、合わせて年間配当金は32円とさせていただく 予定です。
リスク情報
投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、 以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項 は、当期末現在において当社グループが判断したものです。
(特有の法的規制等に係るものについて)
当社グループは、各種の医薬品およびその関連商品を取り 扱っています。このため主に医薬品医療機器等法の規定により、 各事業所が所轄の都道府県知事より必要な許可、登録、指定 および免許を受け、あるいは監督官公庁に届出の後、販売活 動を行っています。監督官公庁等の許認可の状況により、 医療用医薬品等卸売事業の業績に影響を及ぼす可能性があ ります。
(医療制度改革について)
わが国は、財政再建が喫緊の課題となっており、その一環と して医療保険制度改革が進められており、改革内容によっては、 医療用医薬品等卸売事業の業績に影響を及ぼす可能性があ ります。
(薬価基準について)
医療用医薬品等卸売事業の取扱い商品である医療用医薬品 は、薬価基準に収載されており、薬価基準は保険医療で使用で きる医薬品の範囲と使用した医薬品の請求価格を定めたもので す。従って、薬価基準は販売価格の上限として機能しています。 薬価基準で定められた価格(薬価)は市場実勢価格の調査結果 に基づいて2年ごとに改定が行われており、その動向が医療用 医薬品等卸売事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(投資コストと販売価格について)
競合の規模・領域が拡大しており、これらに対応すべく、物 流・情報システム機能の充実・拡大に伴う投資コストの増加や、 販売価格の想定以上の下落によって、業績に影響を及ぼす可 能性があります。
(販売中止、商品回収等について)
販売する商品が、予期せぬ副作用、異物混入等により、販売 中止または商品回収などの事態となった場合、業績に影響を 及ぼす可能性があります。
(システムトラブルについて)
当社グループの事業運営は、コンピュータネットワークシス テムに依拠しており、自然災害や事故、またコンピュータウイル スの侵入等により機能停止した場合、販売・物流に大きな支障 を及ぼす可能性があります。
(債務不履行について)
当社グループと取引先との継続取引に伴う債権について、 取引先の破産、民事再生等による債務不履行が発生した場合、 業績に影響を及ぼす可能性があります。
(商品在庫について)
当社グループが所有する商品在庫は、仕入先の破産、民事 再生等により商品価値が低下し、販売不能になった場合、業績 に影響を及ぼす可能性があります。
(提携等に伴う財政状態および経営成績について)
当社グループは、提携等を行うにあたって十分かつ慎重な 検討を重ねていますが、それらの取組みの結果、提携等が当 初の計画どおりに進まなかった場合、財政状態および経営成 績に影響を及ぼす可能性があります。
(訴訟について)
当社グループが事業活動を行う過程において、損害賠償を 求める訴訟を提起される可能性があります。
(事故、災害について)
当社グループは、地震・台風等の自然災害や新型インフル エンザの流行などに備え、危機管理体制やシステムのバック アップ体制を構築していますが、大規模災害が発生した場合に は事業が停止し、販売機会損失による売上高低下または復旧 費用の増加等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(環境について)
当社グループは、資源の再利用、二酸化炭素の削減等を推 進し、関連法令等も遵守しながら自然環境に配慮した事業を 行っていますが、今後のさらなる環境変化または法令等の変更 等が生じた場合には、環境対策費用の増加等により、業績に影 響を及ぼす可能性があります。
(情報の漏洩について)
当社グループが保有する顧客情報や機密情報等の情報資 産の保護については、外部に漏洩しないよう管理体制の整備 に努めていますが、不測の事態により、これらの情報が漏洩し た場合は、社会的信頼の低下や費用の増加等により、業績に 影響を及ぼす可能性があります。
これらの他にも、さまざまなリスクが存在しており、ここに記 載されたリスクが当社グループのすべてのリスクではありま せん。
42 MEDIPAL HOLDINGS CORPORATION Annual Report 2017 MEDIPAL HOLDINGS CORPORATION Annual Report 2017 43